猪悲話
笛寺だ。
全米オープンテニスで錦織選手が善戦した。世界の強者(つわもの)のなかで、頑張ったがベスト・フオァで敗退となった。来シーズンに期待しよう。
話題は変わる。 「最近、とんと猪を見掛けなくなったと思ったら、親猪は殺処分、子どもは山へ返されたそうです」と、同僚は淋しそうに話した。「人間が猪に餌付けなんかするから、こんな悲劇が起こるんです」と、同僚は憤懣やる方ない面持ちで話した。
「ちょいと」婆さん、この話を聞いてどう思うのだろう。何も、ちょいと婆さんだけではない。スナック菓子を袋ごと投げ込んだ女もいた。キャベツをひと玉、丸ごと投げ込んだ男もいた。
余りにも餌を与える人が増えた結果、猪が川底から上にいる人達に向かって顔を上げて餌をねだるような仕草を見せるようになったのだ。
これも、もとはと言えば、人が無責任に猪に餌を与えたからに他ならない。天中川の猪が人を襲ったとはなかなか考えにくいが、結局、親猪は殺処分となり、子供の猪たちは親を失って山へ戻った。
悪の原点は、人間の愚かさだ。山の中で暮らしていれば、空きっ腹を抱えてうろつかなければならないかも知れぬが、寿命を縮めることは無かっただろう。
飲んで気が晴れるわけではないが、飲まずにはいられない・・親猪たちの冥福を祈りつつ、きょうの気分は「ささみのたたき」に「大吟醸 吉乃川」
メロンを思わせるようは芳醇な香りが口中に広がり、気持ちをフト和らげてくれる。