さやか、さまざま
本野六四朗(ほんのむしろう)ペンネームです。本屋で店長やってます。今度の芥川賞の授賞者は「コンビニ人間」の村田沙耶香でした。
昨年の又吉直樹の芥川賞受賞作品「火花」の100万部には及びませんが、46万部を売り上げ、最近の芥川賞の中では突出して売り上げを伸ばしました。
一方、歌手の松田聖子の娘の名は、神田沙也加。二人のさやかさんですが、さやかのさの漢字が沙という字で同じである以外はすべて違う字ですね。
娘が生まれたとき、私は命名のため万葉集、古今集、新古今和歌集を片っ端からめくっていきました。古今和歌集の藤原敏行の歌が目にとまりました。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる
この歌の「さやか」という言葉が気にいりました。どういう漢字をあてたらよいか、四六時中考えましたが、これはという字を思い付きません。そんなとき、その頃勤めていた会社の同僚にも一日違いで女の子が誕生しました。
その同僚の名前は伊東永三と言うのですが、彼は自分の娘に自分の名前から永の一字をとって「はるか」と読ませることにしたのです。それを知った私は「さやか」という名前を諦めました。
「はるか・さやか」では安物の漫才コンビのように思えたからです。もう歌集をめくるのはやめにしました。そして、たまたまそばにあった漢和辞典を開いたところに玲という文字を見つけました。
玲:玉や金属が触れ合って鳴る美しい音、冴えて鮮やかなさま、透き通るように美しいさま。これにしよう。娘の名前は「玲」に決まりました。
数日後、私は私たちの仲人の富田さんに娘を玲と名付けたと手紙で報告しました。そのまた数日後、富田さんから返事が来ました。富田さんのお嬢さんの名前は偶然にも玲子さんでした。私が娘につけた玲の字の意味を富田さんがお嬢さんに説明すると、お嬢さんは初めて知ったと言って非常に喜ばれたそうです。
そんなことを思い出しながら、きょうの気分は「プルコギ」に「しめ鯖」と「ビール」で。
娘の玲と一緒に飲める日を楽しみにしています。
クリックして頂けると励みになります。宜しければお願いします。